焦らされて・・・ |
草木も眠る丑三つ時・・・ 沖田はそっと自室を抜け出し、副長室へ向けて足音を忍ばせる。 その手には土方が愛用する荒縄が握られていた・・・ 事の起こりはお互い忙しさで、擦れ違いになっていた事から始まった。 もう20日ほど、肌を重ねていない。 その事に気付いた沖田は土方の非番の今日、大急ぎで巡察を終わらせ副長室へと向かった。 肌を重ねたい思いより、土方に甘えたい一心だ。 だが、副長室はもぬけの殻で山崎に尋ねると、急な会合が入り出掛けたとの事・・・ しかも場所は花街だった。 そうなると土方の事、女を相手にしないわけがない。 別に約束をしていたわけではない・・・仕事なのだから仕方がないと、いつもの沖田なら諦めるだろう。 だが今日の沖田は共に居たいと思うのが自分だけなのかと、言いようのない悔しさに見舞われた。 土方が帰ったのは夜もすっかり更けた頃だった。 自室へ向かうと障子から、灯が漏れている。 誰がいるのかは直ぐに分かり、土方の頬が微かに緩むが、慌ててその締りのない顔を引き締め、眉を不機嫌そうに顰めながら障子を開けた。 「・・・なんだ、お前か・・・」 部屋の中央に座しているのは思った通り沖田だったが、土方はわざと低い声を発した。 「私が居ては何か不都合でも?」 「別に・・・」 そう言いながら沖田に背を向け羽織を脱いだ。 だが土方は気付かなかった・・・その項に、べったりと紅が付いていたのだ。 それを見た途端、沖田の細い眉がピクリと動くが、後ろを向いている土方は気付かない。 「・・・どうやら、とてもお楽しみだったようですね・・・」 「たいした事はねぇな・・・それより、何か用か?」 ここで、土方は大きな間違いを犯していた。 声は穏やかに聞こえるが、その沖田の表情は怒りの為、半眼で土方の背を睨んでいたのだ。 それに気付いていれば、土方は慌ててご機嫌取りをしただろう。 「別に大した用ではありませんので・・・では、私は休みます。失礼しました」 「お・・・おい!」 慌てて振り向いたが、その華奢な背は素早く障子を抜けて出て行ってしまった。 「・・・ちっ!そろそろだと思ったんだが・・・もう少し待ってみるか・・・」 止める間もなく出て行った恋人に、少し恨みを持ちながらも、仕方なく自分で布団を敷いた。 いつもなら、沖田が気を利かせて敷いておく上に、土方が帰るまで布団の中で待っている為に、 その体温で程よく温まっていたが、今日はその冷たさが身に染みる。 「しかし、あいつもよく我慢できるな・・・俺の方がそろそろ限界かもな・・・」 小さく溜息を吐きながら、土方は冷たい布団に身を横たえると、これから起こる事も知らずに、深い眠りに引き込まれていった・・・ 今までにない程、長く肌を重ねなかったのには、土方にある目的があったからだ。 それは単純明快・・・『沖田から誘惑してもらいたい』と言う、最低な計画だった。 沖田も男である以上、我慢が出来なくなるだろう・・・ その時は、頬を染めながらも土方にその身を摺り寄せ、甘くおねだりをするはずだ・・・ その状況を頭に思い浮かべながら、今まで耐えてきた。 風呂に入っている時など、沖田が入ってこないかと、ドキドキしながら待っていたし、 部屋で布団の中に一糸纏わぬ姿で待っていないかとか、そんな妄想で頭はいっぱいだった。 下手に辛抱強いのも、問題だったのだろう・・・ 全ては自業自得としか言いようがないのだが・・・ 土方は眠りが深い・・・殺気などには直ぐに勘付くが、それ以外だとなかなか目を覚まさないのだ。 それを知っている沖田は、自室へ戻るとジッとその時を待った。 土方の項に浮かんでいた紅の色が、目から離れない・・・ 自分は少しでも土方の傍にいたくて・・・それでも邪魔をしないようにと、グッと我慢をしていたのだ・・・ そんな自分と違い、土方は簡単に女を抱いているのかと思うと、悔しさと悲しさでいっぱいになった。 そして、深夜・・・沖田はソッと土方の部屋へと忍び込んだ。 枕を抱いて眠る土方に、益々腹が立ってきた。 だが、運よくうつ伏せになっているのだから、良しとしようと一人頷きながらその身体にソッと近付いた。 荒縄を取り出し、後ろ手で縛り上げようとするが、痕が付いては不味いだろうと回りを見渡すと、 そこに土方が使っていただろう手拭いが目に付いた。 その手拭いを手に取り土方の手首に巻くと、その上から荒縄できっちりと縛り上げた。 「これでよし!」 硬く縛った結び目を確認すると、満足そうに頷いた。 「さて・・・そろそろ、起きて頂かないとね・・・」 そう呟くと土方の項をソッと撫で上げ、紅を拭い去る。 余程、意識をして付けたのか、その手で擦ってもまだ項に紅が残っていた。 「・・・私を放っておいて・・・」 悔しさを込め、沖田は押さえていた殺気を放出した。 途端に土方の身体が弾かれたように起きようとしたが、両手が付けずに布団に伏せたままだった。 「何だ!?」 「目が覚めましたか?」 暗闇に浮かぶ白い面が沖田だと確認すると、土方の身体がホッとしたように力が抜けるが、自分の状態に気付いたのか慌てて声を荒げる。 「そ・・・総司!どういう事だ!?」 「どういうって・・・分かっているのでしょう?」 縛りつけた荒縄を握り、グッと力を込めて土方の身体を起す。 「私を放って、女の人を抱くなんて・・・」 起した土方の耳元で、声だけは優しく囁く。 このような状態でなければ、土方は思わず抱き寄せてしまうかと思うほど、艶を含んだ声だった。 「おい・・・?何を言っている・・・」 「土方さんにとって、私がこれ程どうでもいい存在だとは思いませんでした・・・」 慌てて声を荒げる土方の言葉など、沖田は耳も貸さない。 「おい!俺は女なんか・・・」 「原田さんが言っていました・・・『男は三日に一度は出さないと病気になる』って・・・ 土方さんは女の人で出しているから、いいでしょうけどね・・・」 「おい、聞けって・・・」 「でも、私は他に出す人なんかいませんので・・・」 沖田が言いながらスッと立ち上がると、スルスルと夜着の帯を解き始めた。 何とか沖田を説得しようとしていた土方だが、その姿を目にすると思わず声を出すのを忘れて見入ってしまう。 「そうなると・・・自分でするしかないでしょう?」 パサッと軽い音を立てて帯が沖田の足元に落とされた。その音にハッとしたように土方は我に返る。 「総司!誤解だ!!俺は女なんて・・・」 その言葉も沖田が夜着の前を開くと同時に消え入るように小さくなり、続いてゴクリと唾を飲み込む音が暗い部屋に響いた。 「土方さんは・・・女の人の方がいいんでしょう?」 スッと土方の目の前に座り込み、その身体に擦り寄るとまるで接吻を強請るように、唇をそっと寄せる。 夜目にもその鮮やかな赤い唇が土方を誘う。引き寄せられるように、土方の唇が前に出されるが、その分だけ沖田の唇が離れる。 「駄目ですよ・・・女の人の唇を吸ったのでしょう?」 顔を傾け息が掛かるほど近くにいるのに、その唇を捉える事が土方には出来ない。次第に苛々が募ってくる。 「おい!総司!!」 これ以上焦らされては堪らぬと、土方が声を荒げると沖田の身体がスッと引いて、少し距離を置き座りこむと裾をそっと捲った。 下帯は着けていない・・・ 「・・・・・・」 土方の目が沖田の下肢に引き寄せられ、またもや声が出ない。 そんな土方を尻目に、沖田は両足を広げ、まだ力のない自身に手を這わせる。 「病気になったら・・・困りますから・・・」 夜目に浮かび上がる白い肌に、土方の喉から再び生唾を飲み込む音がした。 「んん・・・」 やんわりとしなやかな指で、自身を掴むと鼻に掛かった甘い声が漏れた。 細いしなやかな指が根本から先端までをゆっくりと撫ぜる。 次第に沖田自身が頭を擡げ始めると、手の動きも早くなっていく。 「ああん・・・はぁ・・・」 先走りが流れ出したのだろう・・・沖田が自身を扱く度に、滑った水音が響き始める。 「お・・・おい・・・」 これは・・・普通の状態なら土方も黙って傍観していただろう・・・だが、実は土方も久しぶりだったのだ・・・ 例の紅は恐らく泊まらぬ土方に焦れ、女が抱きついた時に付けられたものだろう。 暫く欲望を押さえた土方の身体は、沖田の乱れる姿にこれ以上はないほど反応をしていた。 甘く誘われたいとは思ったが、これ程焦らされたいと思ってはいない。 「お・・・おい!俺は・・・」 土方の声を遮るようにピチャっと、滑る水音とは違う音が響く。 その音に沖田の下肢から視線を離し、顔を見ると細い指を赤い小さな舌で舐めていた。 「土方さんの所為で・・・ここだけじゃ、満足出来なくなっちゃった・・・」 たっぷり唾液で濡らした指をソッと自身の更に奥へと下ろしてゆく。 「おい・・・!」 土方は焦った・・・自分の指でイかれては堪らない。なんの為に今まで我慢してきたのか・・・ 「ああ!・・・ひゃっ・・・」 だが、土方の言葉も聞かず沖田の細い指は、小さな蕾に飲み込まれていった。 目の前で足を開き、自身を扱きながら更に秘所を指で慰める・・・その怪しい姿に土方の目は釘付けになった。 「あん・・・あっ・・・」 土方に見えるように、更に腰をずらし、足を広げる。 右手で先端を捏ねくり、左手の指はその奥の狭い蕾に出たり入ったりを繰り返す。 「・・・・・・」 暗闇に浮かび上がる白い肌が、別の生き物のようにくねるのを土方の視線が熱く捕らえる。 『こ・・・このままじゃ不味い・・・』 今にも達しそうな沖田に、土方が益々焦る。 『この縄を何とかしなけりゃ・・・』 後ろ手で縛り上げられている縄は、簡単に解けそうにはなかった。だが、指でなぞるうちに手拭いが巻かれていることに気付いた。 『くく・・・総司・・・甘かったな・・・覚悟しろよ・・・』 自由が利かないながらも、右手でその手拭いを掴み、少しずつ引いてゆく。 この手拭いが取れれば、その分隙間が開くだろう・・・そうなれば、この縄は簡単に抜けられるはずだ。 土方は渾身の力を込めて手拭いを引き続けた。 「ああ・・・んっ・・・」 細い腰を緩やかに揺らしながら、沖田の身体が布団へと倒れ込むと、その自身と蕾は更に土方に晒された。 「・・・っ・・・」 土方自身は早く沖田の中へ入りたいらしく、限界まで膨れ上がっていた。 だが、そんな事など意に反さず、沖田は細い指を引き抜いた。 「あ・・・駄目・・・指じゃ届かない・・・」 その目が土方の文机へと向けられる。 「お・・・おい・・・」 よろよろと立ち上がり、文机へ近寄ると土方の愛用の筆を取り出した。 「総司・・・まさか・・・」 『冗談じゃねぇ!俺より先に筆が総司ン中に入るのか!?』 土方の心の叫びは沖田には届かない。 筆を持って土方の傍に寄ると、その柄に舌を這わせる。 「これなら・・・届きますか・・・?」 土方の目の前で筆を咥え、ゆっくりと出し入れを見せ付ける。 「ま・・・まて、総司・・・俺は女なんて・・・」 「うるさいお口ですね・・・そういうお口は塞いじゃいましょう・・・」 まだ何か言おうとする土方の口を解いた帯でキュッと縛った。 「んんーー!!んんんーーん!(総司――!!いい加減に・・・)」 「何を言っているのか分かりませーんv大人しくしていて下さいね・・・ 事と次第によっては、私の肌を見るのは最後になるかも知れませんし・・・」 潤んだ瞳でニッコリ笑うと再び身体を離し、その細い足を土方の目の前に晒す。 「この筆と土方さん・・・どちらが楽しませてくれるでしょうね・・・?」 「んんーー!んんんんーー!!(バカヤローー!俺に決まってるだろう!!)」 だが口を塞いだままの土方の言葉を沖田は理解していない。 そのまま筆に舌を這わせ、土方を盗み見る。 「そうですよね〜・・・大事な筆・・・こんな事に使われたら、捨てるようですものね・・・」 「んんんーーー!んんんんーんんんーーー!!(誰が捨てるか!記念に取っておくに決まってるだろうーー!!)」 「大丈夫ですよ・・・土方さんの大事なもの・・・私が取り上げるわけないじゃないですか・・・出すくらい、自分で出来ますから・・・」 ポロリと手から筆を落とすと、再び自身へと手を伸ばす。 土方は必死に手拭いを後ろ手で引き抜く。早くしなければ、沖田は自分で達してしまう。 「あ・・・んん・・・」 沖田の甘い声が再び奏でられる。 「ああん・・・早く・・・終らせます・・・ねっ・・・あん・・・ そうしたら・・・明日の朝は・・・あん・・・鉄くんにでも・・・縄を解いてもらって・・・はぁ・・・」 土方に言葉をかけながらも、自身を弄る手が激しくなってゆく。 同時に土方の手首に巻かれた手拭いが、外れ始めるが気ばかりが焦る。 「あっ・・・もうっ・・・」 声が漏れないように沖田が夜着の袖を噛む。 土方の手首に巻かれた手拭いが解けると、縄を外しに掛かる。 沖田に一人でイかれては堪らない・・・土方は必死に縄を手首から外そうともがいた。 「んん・・・はぁ・・・っ・・・」 「んんんんーーー!!(イくんじゃねぇーーー!!)」 帯に言葉を遮られながらも、怒鳴りながら両手に力を込めた途端、それがスルリと解けた。 だが・・・ 「ああっ・・・んんーーー!!」 沖田の背がしなやかに逸らされ、その身体がビクビクと痙攣を繰り返す。 達した様子に土方の怒りが頂点になった。 「総司―――!!」 口を塞ぐ帯を乱暴に毟り取ると、自由になった身体で沖田に覆い被さり、四肢を押さえ付けた。 「ひ・・・土方・・・さん?・・・はぁ・・・な・・・なんで・・・」 息を乱したまま、驚きで目を丸くする。 「お前ぇ・・・俺の許可なくイくなんて、いい度胸してやがるな!」 怒りで目が座っている。 「い・・・いいじゃないですか!土方さんだって、楽しんできたのでしょう!?」 土方の怒りに押されながらも、沖田は言い返す。 「女なんて抱いちゃいねぇ!!」 「だ・・・だって!項に紅が付いています!!」 四肢を押さえ付けられながらも、瞳に涙を浮かべ沖田が言い返すと、土方が慌てて項に手を這わせ、そこに付く紅を確認した。 「これは俺が相手にしなかったから、女が勝手に後ろから抱きついたんだ!」 「嘘・・・」 プイと横を向く沖田に、土方は苛々してその細い体を乱暴に起し、夜着を肌蹴ると下帯を毟り取った。 「見ろ!女を抱いたなら、こうなるか!?」 土方自身は沖田の行為ですっかり勃ちあがり、先端からは先走りが溢れていた。 太い幹を濡らす液で、沖田はハッと我に返る。 一度ならずとも出していれば、こんなになるはずはなかった。 「あ・・・ごめんなさ・・・」 自分の誤解だと気付き、沖田が俯く。 「・・・たくっ・・・!極上の鯛の味を知っているのに、今更雑魚なんか喰えるか!!」 「土方さん・・・」 誤解だと分かれば、沖田の中には罪悪感と羞恥でいっぱいになった。 「ごめんなさい・・・許して・・・」 目の前で起立する土方自身に手を這わせると、そっと唇を寄せる。 「総司・・・?」 「これで・・・許して・・・」 小さな舌で流れ出る液を掬い取ると、口を開け土方自身を頬張る。 「・・・ッ・・・」 突然の感触に土方自身が更に膨れ上がるが、沖田は必死に奉仕を続ける。 沖田の中には土方を信じ切れなかった事への、申し訳なさでいっぱいだった。 そんな沖田の頭を軽く撫ぜる土方は、満足気な吐息を漏らす。 だが・・・奉仕に必死になる沖田は気付かなかった・・・ 先ほどまで両手を束縛していた荒縄を土方の手がソッと掴んだ事を・・・ END |
黎明哀華の聖也様から、10,000Hit記念にいただきましたー!メールで『総司の焦らし受け』について熱く(笑)語っていたんですよねvv まさか戴けるとは思っていなかったので、舞い上がってます♪予想以上にえろかったですv どうもありがとうございました〜☆笑顔 ・・・個人的に、続きが気になって仕方ありません。笑 |